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09.気持ちに嘘をついてまでの訳があるんだ。
「ねぇ、次、何行く?」
そんな会話をしながら園内を歩く。
「そこのカップルさん!」
そう声をかけ、誰かに肩を突然叩かれた。
「?!」 「あそこのショップの割引券お渡ししてるんで、 帰りにでも寄ってってください!」
呆然とする俺に、割引券を渡してそのおじさんは去っていった。
「カップルだってさ。」 「…な。」 「そう見えたのかな?」 「さあ。口実じゃねぇの?」
嬉しかったよ。正直。 他人からそう見られたこと。 でも、それを肯定しちゃうとさ、
俺、自分の気持ち抑えられなくなっちまう。
「・・・」
気持ちに嘘をついてまでの訳があるんだ。 君との関係、壊したくない。
だから、嘘を吐いたんだ。
「もう…なんでそんな事言うの?」
隣に居た君の瞳から、涙が溢れた事に気付いて、焦った。
「もう…疲れた。」
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