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05.夢を語ったのは何年前のことだろう。
「受験はまだ先だとか思ってるだろうが、 月日なんてものは、すぐ経って、慌ててる間に受験日がやってくる、 なんて事がよくある。」
また始まったよ…。 先生のお得意の受験危機意識論。
このクラスになってから何度目だろう。
覚えそうな程聞かされた弁論を聞かず、窓の外を眺める。
「じゃ、来週までに用紙に記入してくるように。」
いつの間にか机の上にあるプリントには、 “進路調査”と書かれてあった。
「進路か…。」
まるで他人のことの様な感覚。
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「ねぇ、今日進路調査の紙貰った?」 「ん?ああ。貰ったけど?」 「何て書くのー?やっぱ進学?」 「…お前は?」
「私…?・・どうすんだろうね…。」 「まるで他人事だな。」
「そうだね、自分ではどうにもならないし。」
親の事情なのかな、なんて勝手に思った。
「だから、参考にするから!教えて?♪」 「えええ?俺?俺は何も…」
ふと思った。
夢を語ったのは何年前のことだろう。 中学生の頃は、現実味のない夢を語ってた。
今となっては大それた夢を語れる程の過信はない。
「悩んでんでしょ。自分の道を。」 「…そりゃ、誰だって悩むだろ。」 「まぁ、そうだけど。口に出して整理してみたらー?私の前で♪」 「お前なぁ〜…。」
半ば呆れながらも、そう言われて、ちょっと話してもいいかな、 そんな思いにさせたお前は、やっぱ凄いわ。
「…まぁ、もうちょっとしたらな。」
「はいはーい♪」
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