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02.いつかの出会いより、今の出会いを大切にしたい。
人には、言いたくない事って、あるもんでしょ? 彼女の場合、どうやら“母親”の事らしい。
いつだったか、たまたま親の話になったことがあった。
「ねえ、今日店寄って行かない?」 「え?俺そんなに金持ってねぇーし…。」 「やだなぁー、私、そんなにケチに見えます?♪」 「うーん…。」
「悩まないでよ。これでも、店の経理関係任されてんだから。」 「親がしてねぇのかよ。」 「だって、父さんは店長だしー。」 「母親は?」
「…って事で、今日来てねー、じゃ放課後ね〜!」 「・・・?おう。」
その日、喫茶店に行くと、 店内には1人の女性と店長が話をしていた。
「…あれ、母親。」
ボソッと、まるで他人事の様に話す彼女。 何かあるんだろう、と俺にも解った。
ふと、母親と目が合って、なんとなくペコ、と頭を下げた。 でも、その人は何もせず、ただ俺達を見比べて、 フッとバカにした様に笑っただけだった。
「失礼な女。ゴメンね。気分悪くした?」 「ん?大丈夫。母親と話さねぇーの?」
「話なんて、したくもない。 ゴメンね、3人じゃ気まずいから、今日誘った。」
「なんだ、そういう事?いいよ、別に。」
それから、俺達の距離はより、近くなっていった。
いつか、彼女の母親に出会った事よりも。 今の出会い。
それは、気持ちと気持ちがぶつかり合った… いや、重なり合って出会った感じ。
今の出会いを大切にしたい。
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