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私は財布の中にそっとしまった。
04.傘、入りませんか?
「ねぇ、何で最近部活でないの?」 「え?…ちょっとしんどくて…。」 「・・でも、作品、文化祭までに2つ仕上げないといけないのに…。」 「う・・うん。」 「まだ1つ目の途中なんでしょ?しかも、2つ目は何を描くかも…」
「解ってるよ…!」
イタイ部分を指摘されて、つい大きな声で叫んでしまった。
「あ、ゴメン。」 「…ううん、ゴメンね。人にはペースってもんがあるよね。 私も悪かった、ゴメンね。」 「ゴメンね、ありがとう。ちゃんと完成はさせるから!」 「待ってるね。」
優しい友達。
今日はお昼頃から雨が止まない。 まるで私の今の気分みたい。
「はァ…帰ろ。」
校舎を出ようと思ったその時だった。
「…今日は止まないのかなぁ…はぁ。」
「?!」
彼が私の1m程隣に立って、そう呟いた。
「どーすっかなぁ…。」
彼は傘を持ってなかった。 そして、友達や彼女らしき人も誰も居なかった。
「何で今日に限って一人かなぁ…。」
…まさか、誘ってる…????? 『お前のその傘を貸せ〜!』的な感じ…?!
「誰か、入れてくれないかなぁ…。」
言うべきなのかな…でも、なんて? 『傘、入りますか?』『傘、入りませんか?』 いやいや、あー、もう、どうしよう…!
私が悩んでいると…。
「ねぇ。」
話しかけてきた。
「?!!?!!!!!!!!!!」 「あ、ゴメン驚かせた?」 「え?いえ!ナンですか?!」 「駅まで傘、入れてくんない?」
な・な・な・何ですと?! 自分で言って来たーっ!!!
「え?!傘?」 「ダメ?あ、彼氏待ちだった?」 「いえ!違います…!」 「じゃ、入れて?」
断る理由も、断れるわけも、断ることもできず。 相合傘完成です。
「…美術部だよな?」 「え?!な・なんで知って…!」 「あ〜、サッカーしてる時、休憩入ると見えるんだ。美術室。」 「見えてるんですか?!」 「うん。校庭の方、描いてるんでしょ?」 「あ、はい。」
「そういえば…」 「?」 「ネックレス…」 「え?」 「貝殻のネックレス…どうしたの?」 「え?!ネックレス?」 「え?してたよね。修学旅行の時の…白い…」
訳が解らなかった。 何で彼が私がネックレスを買ったことも、してたことも… そして外した事も知ってるのか…。
「あ…あれは…」 「無くしたの??」 「いや、持ってるけど…」 「けど…?」 「・・・・したくなくて。」 「なんで?思い出じゃん!」 「でも…」
貴方と、あの女の子と、お揃いはイヤだから…。
「してよ。」 「え?」 「して?俺、同じの持ってるんだ。」 「…?」 「…ってか、ワザと同じの買った。」 「え????」
同じの買った??
「ってか…スキ。」
「おーい。」 「はぁっ?!!!!!!!!!!!!!」 「スキです。付き合ってください。」 「え???ちょっと…え???」 「ダメ…?付き合ってるヤツとか、居るの?」 「居ない…けど…え??」 「じゃ、スキなヤツとか、居る??」 「いや…」
「お願い。俺、スキなんだ。付き合ってください。」 「は…はい。」
それ以外、言葉は出なかった。
「で、でも、これ…これと色違いのしてる子は?」
私は財布からネックレスを取り出してきいた。
「持ってんじゃん!…ってか、あれは、妹なの。」 「い、妹?」 「ってか、なんでそんな事、知ってんの?」 「…びっ、美術室から…見えるから。」
「へぇ…見てたんだ。」 「み…見て…見てた。」
「本当に?!マジで嬉しいんだけど!!!」
そうして、私達は恋人同士になった。
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