[A Mermeid Princess Tragic]
[07B]


姿の変わったルイは王子を探していた。
自分の姿が変わってしまった事にはとうに気づいていた。
変わった姿を嘆くより王子に会いたいとういう強い意志に動かされ、
愛しい王子を探していた。
王子と出逢ったその時に、大切な親も友達も捨てて人間になる事を選んだ。
なのに、どうしてあの人は私の隣にいないの?
心が通い合っていると信じることができたのに……。
最後に違う人を選んだ貴方。
それでも貴方は何度も私の名前を呼んでくれた。
私は一度もあの人の名前を呼ぶ事はできなかった。
もう一度会って名前を呼びたい。私の(こえ)を聞いて欲しい。
ただ、それだけでいい。
何日も休むまもなく泳ぎ続け、ルイはやっと王子の住む城に辿り着いた。
懐かしい景色に心が癒される。
故郷である海よりも、たった1週間しか住んでいない城を懐かしく思う。
愛する人が住んでいる場所。
やっと、会える。
ルイは城まで行けば王子に会えると思っていた。
…だが、
私ってば人魚だから歩けないんだ…。どうしよう……。
会いたくても会いに行けない…。
ルイは王子を助けた岸辺に姿を隠しながら、王子を待つ事にした。
しかし王子は何日経っても姿を見せない。
耐えかねたルイは城が見える場所に行き、そこで待つ事にした。
しかし王子は何日経っても姿を見せない。
王子様はきっと結婚したから外に出られないのだわ。
そう思ったルイは、
せめて、あの方に届くように唄を歌おう。
もしかしたら、気づいて出てきてくれるかもしれない。

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