[No Distance小説大会 Vol.03]
[お題:さよならの五日]
幻聴だろうか?
しかしその割にはハッキリと聴こえた。美緒は辺りをきょろきょろ見回す。
「お母さん、今何か言った?」
「やーねー何も言ってないわよ、それより早く朝ごはん食べなさい、遅刻するわよ!」うーん、やっぱり耳の錯覚だろうか。
身支度を整え、家を出ようとしたその時、
“もう、行くの?行ってらっしゃい。今日も一日頑張って!”
「え…!?」
…まただ、さっきと同じ現象。もちろん玄関前には自分しかいない。
一体何だと言うのだろう、美緒は疑問に思いながらも家を出た。「おはよー!美緒。」
「あっ桃子、おはよう!」登校中、後ろから声を掛けてきたのは私の友達でクラスメートの桃子。
「今日英語あたる日だねー嫌だなぁ…」
桃子が寒い手を擦り合わせながらつぶやく。
「それがね、今朝不思議な事があったんだ。」
「不思議な事…?」桃子に今朝のいきさつを説明してみる事にした。
「ふ〜ん、そんな事があったんだ…それってさ、心霊現象ってやつじゃない?」
「心霊現象?」美緒は首を傾げる。
「そう!よくTVとかであるじゃん。聞き覚えのない声が聞こえてきたり…」
心霊現象か…でも私はそういう物は信用していない。
だって、死んだ人にまた会えるなんてそんなムシのいい話ある訳がない。おばあちゃんは死ぬ間際に「いつでも会える」と言い残していったけど…
それなら、大好きだったお婆ちゃんも、
生まれた後すぐに死んでしまった双子の妹、実季にもまた会えるはずなんだもの…!「死んでしまった人とは二度と会えないよ…」
そうつぶやくと、美緒は駆け足で走り出した。
「あっ美緒、待ってよ〜!」
桃子は美緒の後を追いかける。
美緒は忘れかけてた、幼い頃のあの何とも言えない不思議な感情で胸がいっぱいになっていた。
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