[Sprit×Drug−精神安定剤−]
[03]


――――ピピピピッ――
  ――――ピピピピッ――

「ん〜…もう7時か…」

いつの間にか俺は眠っていたようだった。

「ドラッグ…姫の弟が死んだドラッグ…」

やはり、辞めるべきなんだろうか…?

「おはよう。翔ちゃん。」
「…俺の事愛してないのによく笑いかけれるね。」
「…翔ちゃん私達はね、確かに貴方の事愛してないわ。でも、好きよ。」

好き…と愛してる…の違い…。
俺には違いがイマイチ解らなかった。

「だから、貴方が一人暮らしをする。お金は出すし。」
「いいよ。二人はもう離婚するんだろ?だからもう俺は2人にカンショーしねぇよ。」

「―――今までゴメンね。翔ちゃん。」

その言葉を聞いて俺は部屋を探しに出た。

―――

「部屋って…中々見つけらんねぇのな…あ。」

通りの向こう側に元山先輩と美里さんが歩いていた。

「元山先輩っ!美里さん!」

…人違いかな…?

「ちっ、人違いかよ…あんな大声あげて声かけなきゃよか…」

そう言おうとした時…
     ――――――ドンッ――

「キャーッ!!!!!」
「?!!」

先輩と美里さんは車が猛スピードで走る道路に血を大量に出し横たわっていた。
俺はすぐに駆け寄った。

「先輩!!!!美里さん!!!!」

「早く救急車!!!!」
「今あの2人車に突っ込んで行ったよ?!」
「…心中ってやつ〜?」
「うわ〜エグ〜…人間ってあんなんになるんだ…」
「あたし、死ぬ時はもっと綺麗に苦しまず死にたい〜」

野次馬が口々に喋っていた。

そうこうしてる間に救急車のサイレン音が聞えた。

――――ピーポーピーポー〜…

…ヤバイ。  咄嗟にそう思った。
この2人はドラッグをしてた。
・・・俺がここに居たらドラッグをしてたことがバレルかもしれない…。

―――逃げないと…!

そうして、俺はぐちゃぐちゃになった2人を置いて走った。

「どうしよう…俺あんなに叫んでしまった。」

事故現場から20mも離れていなかったと思う。
その時誰かに手を捕まれた。

「逃げちゃダメ。」

…姫だった。

「姫!?逃げちゃダメって…逃げないと俺捕まるかもしんねぇじゃん!」
「…だからって逃げたら翔くんが二人の名前を大声で叫んだのを見てた人の方が多いんだよ?
 その方が怪しまれるじゃない!『なんで逃げたんだ?』って。」
「姫、見てたの?」
「うん。翔くんだ〜と思って声かけようと思ったら翔くんが2人を呼んでた。」
「俺、戻る!」
「うん。急ぎな!」

そして俺は救急隊員に友達だ、と説明して救急車に乗り込み病院に行った。
案の定2人はもう死んでおり(ぐちゃぐちゃだったし…)

―――そして俺は警察に事情聴取ってのをされに行った。

「…で君の名前は?」
「望月 翔です。」
「この2人との関係は?」
「同じ大学の…先輩と後輩です。」

「…解ったありがとう。」

そうして俺は警察を後にした。

「あ、姫に電話…しよう。」

―――ピルルルル…

「はい。」
「俺…翔だけど。」
「あ、翔くん。電話くれたんだ!ありがとう。どうだった?」
「うん。特に何も無かったよ。」
「良かったね!」
「あの・・さ。」
「うん?」

「…俺…ドラッグ…辞める…!」
「えっ?!」
「俺、ドラッグ辞める事にした。今回の先輩を見て本気で辞めようって思った。」
「…」
「俺はこうなりたくない…ってそう思った。」
「うん。」
「だから…さ。姫…俺を助けてくんねぇかな?」
「え?」
「だからっ!…俺一人じゃ不安になったり、またやりたくなる事、あるかもしんねぇけど。」
「うん。」
「その時、俺の事止めて…助けて…って言ってんの!」

「いいよ!」
「本当?!ありがとう・・・姫。」
「うん。頑張ろうね。」

そう言って電話を切った。

「よし、俺の新しい生活の始まりだ。」

俺は部屋をまた探しに不動産屋を回った。

「ここなんて、どうでしょう?」
「…家賃は?」
「月4万です!」
「こんなにいい条件揃ってないですよ?」

「…解りました!あの、すぐに引っ越したいんですけど…大丈夫ですか?」
「すぐって何時頃…」
「出来るだけ早く…。」
「・・・・・・・・・・・・・解りました、後日連絡させて頂きます。」
「じゃぁ…」
「スミマセンが…お客様。」
「はい?」
「契約手数料として2万円頂きたいのですが…」
「契約手数料…ですか?」
「はい。すぐに引越しされたいと言う事ですので…こちら側でも…」
「あ、そうなんですか?…はい。2万…じゃ、お願いします」

月4万の家賃を払うってなったら…バイト探さないとナ。

俺は早々に本屋に行きバイト情報誌を開いた。

「やっぱ、時給のいい仕事は結構ハードなやつが多い…。」
「あ、もしかして翔くん?」
「…?!あ、姫。」
「ふ〜ん…バイト探してるんだ?」
「うん。一人暮らしするのに、家賃が払えないから…。」
「もう住む処は決まってるの?」
「うん。都内の…」
「家賃いくらなの?」
「4万。」
「4万?!」

…その姫の反応が俺にはイマイチ解らなかった。

「大学から近くないし場所が…で4万?!」
「う・・うん。」
「翔くん、今まで本当に過保護に生きてきたんだね。」
「・・・・・・・」
「もっとちゃんと選ばなきゃ!」

4万って言うのは、とてもいい条件だと思っていたのに…。

「あ。そうだ!一昨日私の隣の部屋の人が引越ししたんだ!」
「・・・うん」
「家賃は25000円!大学まで徒歩10分!最寄駅まで15分!どうだっ!」

…どうだって言われても…困った。

「え?それは、オススメしてる訳?」
「うん。」

でも、さっきの4万の物件なんかよりもかなりの好条件だと思った。

「もう契約しちゃったの?」
「うん。後で連絡するって。2万払った。」
「ん?何に2万払ったの?」
「契約手数料だけど?」
「…何それ?」
「何かすぐに引越ししたい。って言ったら・・2万必要だとかって。」
「それってさぁ…何処の会社?」
「丸得賃貸だけど…?」

「うわぁ〜…」

姫が今までに聞いたことも無い様な声でそう言った。

「え?」
「思いっきり詐欺に引っ掛かってるよ!」
「・・・・・・嘘だぁ」
「嘘吐いてどうすんのよぉ〜!」
「…この辺りじゃ有名な話だよ?」
「うぉぉぉ…」
「ま、2万円は仕方ないけど…家が無いのは大変だ。」
「…姫の隣の部屋に住まわせて貰えるよう…」
「うん。大家さんに言ってあげる。」
「ありがとう。」

「バイト探さなきゃね」
「お…おう!」
「じゃぁ、また連絡するね。頑張ってね。」

「あの、スミマセン…バイト面接をお願いした望月です。」
「あぁ、望月君ね。奥へどうぞ。」

店の奥に行き面接が開始された。

「…じゃぁ…最後に聞くけど明日から来れるかな?」
「え?」
「明日から働けるかな?」
「はっ、はい!!ありがとうございます!」
「これから宜しくねぇ!」

「…よっしゃぁ!!俺、結構ついてるかも…」

----ピルルルルルル

「あっと…もしもし?」
『翔くん??あのさぁ、今大丈夫?』
「…今?全然いいよ!俺も話したかったし!」
『そう、じゃさ…会えるかな?大家さんにお願いしといたから…』
「あ、家の?」
『そうそう。挨拶来てくれないかなぁ・・』
「そうだな!ありがとう、何か持って行った方がいいの?」
『ううん、何も要らないから…場所は〜・・・・・・』
「解った!じゃ、すぐ行くよ!」

「…緊張するなぁ!!でも、やっぱ俺ついてるかも…!」

「翔くん〜!こっちこっち!」
「…!!!!!!!」
「感想は?」
「え?ちょっと待って!間違ってない??本当に2万5千円?!」
「そう☆」
「ありえないから!!!!!!!」

そう…姫の後ろには貧乏学生の住む様な所では
絶対にないマンション(アパードじゃない!)が聳え立っていた。

「デカいって…大丈夫かなぁ・・」
「ま、とりあえず、大家さんの所に…」
「う…うん」

長い廊下…小さな庭みたいなのもある…
ここ、結構高級マンションじゃないのか…?!

-----コンッコンッ

「はーい!!ちょっと待ってね〜」

大家さんの家のドアをノックすると、低い男の人の声が軽快に返事をした。

「はいはいはい…っと!おお!姫ちゃん!」
「こんにちは、いつもお世話になってます。」

出て来たのは怖そうな身形の愉快なおじさんだった。

「こ…こんにちは!!」
「…もしかして、レイの…?」
「そうです!♪ 挨拶に連れてきました♪」

「そう、君が…名前は?俺は北村って言うんだ。」
「えっと、望月翔と言います…!宜しくお願いします!!」
「うん。これから宜しく!何かあったら聞いてくれ!」
「はい!有難うございます!!」

大家さんはとてもいい人の様に思えた。

「じゃ、姫ちゃん、案内してあげてね〜」
「はーい、じゃ翔くん行こうか。」
「う・・うん。失礼します…」

「緊張した…?」
「…実は、ちょっとしてた。」
「はは、当たり前だよね。北村さんって性格と見た目のギャップあり過ぎだし!」
「はは!」
「ここ、205号室だよ。」

-----カチャッ

「ここが、俺の…え?」

扉を開けて驚いた。
そこには予想していたものとは全然違うモノだった。


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