[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:鳳 ヰ流

[ 2話]


彼女のことが好きだ。

そう思ったのはいつの頃だったのか忘れてしまった。
それほど長い時間が経ったはずもないのに、何故か思い出せない。
多分特別に意識していなかったせいなのだろう。

きっかけは何だったか、ふと彼女を見た。
同じクラスなのだから面識ぐらいはあった女だ。

容姿が整っているわけでもない普通の女。クラスにいる他の女と比べて特に秀でてい
るモノがあるわけでもない。

ただ視界に入っただけの女。

誰かと喋るわけでもなく座っていただけの女が何となく気になった。

蒸し暑い日が続く夏の頃、その日は雲行きが怪しかった。
ただでさえ暑い上、薄暗い教室はジメジメして居心地のいいものではなかった。

そんな中、将来何の役に立つのか分からない授業をただ黙々と受けていた。
雨音に窓に目を向けると、突然振り出した雨に続き雷が光る。
クラス中が雷にざわめき立つ。

女は「キャー」だの「こわーい」などと叫び出す。
男は「うわっすっげー、見た見た?」と話し出す。

ただ一人の女だけが怖がるでもなく外に目を向けたまま動かずにいた。

あぁ、この前の女か。

そう気がついたのは授業も終わり家路に着いた頃だった。
思い出すと何を考えて外を見ていたのかが気になった。
それからだ。彼女を無意識に目で追うようになったのは。


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