[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧

[28話]


その後、告白してきた女の子と別れて、私達は公園のベンチに座っていた。

「お前ら、マジ、何で居たの?」
「コンビニ行って、中村の上がり待ちしてたんです。ここで。」
「そしたら、星崎さん達の声が聞こえて…。」

星崎さんは、「マジかよ。」って小さく言った。

「なんで中村が好きになったんっすか?バイト?」
「…なんでそんな事お前に言わなきゃダメなんだよ…、。」
「そりゃ、そうっすけど…。」

「告白しないんですか?」
「…今はね。裕香ちゃんにとっては、会ったばかりって事になってるし。」

え…?星崎さんと裕香は前に知り合ってたって事・・・?

「どういう意味ですか?」
「俺は前から知ってるけど、裕香ちゃんは俺と最近知り合ったって思ってるだろうから。」


「それって…」

「それって、私の事覚えててくれてた、って事ですよね?」


突然、私達の後ろから声が聞こえた。
慌てて振り返ると、そこには裕香が居た。

「裕香っ!!バイトは?!」
「終わった。…それより星崎さん、それ、本当ですか?」

「え?」
「前から知ってるってやつ。…電車の時の事じゃないですか?」

電車の事…、それって何なんだろう。

「・・って事は、裕香ちゃんは、覚えてた?」
「忘れるわけないじゃないですか…!
 あんなに怖かったの、助けてくれたんだもん!」


そうだ…、いつだったか。1年?半年くらい前だったと思う。
裕香がいつもより教室に来るのが遅くて、心配になってたら、
目を真っ赤にした裕香が来て。

「痴漢された。」って言ってたんだ。
その時に、助けてもらったって…、それが…星崎さんだったんだっ!

「あの後、制服が同じ学校だったから、
 校内で会えたらお礼言おうと思ったけど…会えなくて。」

名前も解らない相手…星崎さんを、裕香はずっと探してたんだ…。
知らなかった。

「星崎さんを、廊下で見かけた時胸が張り裂けそうになった。
 やっと見つけたって。でも、勇気が出なくて声、かけられなかったんです。」
「そうだったんだ。」

そして、コンビニで裕香が泣き崩れた時、あの時やっと話せたんだ…。


「で、私コンビニで星崎さんを追うようにしてバイト始めたんです。少しでも話したくて…。」





「ずっと、好きだったんです。ずっと…、」





この後、何が起こるかなんて私達には解ってた。

だから、忠昭とその場を離れた。




「裕香…、良かった。」
「うん。」

気付いたら涙が出てた。

そんな私を忠昭はギュッと抱きしめてくれた。

「忠昭…、私、貴方が好きです。」
「俺も。友枇が好き。」

今日、裕香が想いを告げたとき、本当にそう思った。


次へ
前へ
他の人を読む