[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧

[23話]


忠昭はレジの前に居る客の後ろに並んだ。

それを見た星崎さんは、すぐに

「次お待ちのお客様、どうぞ。」

と対応した。

「忠昭、どうするんだろう。」
「解んない。」

見守る私達も結構不安。

-----ピッ

「120円です。」
「はい…と、…あれ?…もしかして、星崎先輩じゃないっすか?」
「え?」
「やっぱり!覚えてないっすか?中学ん時陸上部だった尾方です!」
「…ぁああ!尾方 忠昭?!」
「そうっす!ここでバイトしてるんですねー!全然知らなかったし。」
「よくここ来るん?」
「最近、友達がここでバイト始めたんで、ちょくちょく顔出すんです。
 今日出てますよね?中村 裕香。」

その会話を聞いてた私と裕香と、
さっきまで自分の場所だったレジの前を
たった120円のガムを買った忠昭に奪われて悔しそうにする客。

「凄いね。尾方くん。」
「うん。予想外。あ、客帰ってくよ?」
「あ、本当だ。 、ありがとうございましたー。」

ふと、レジの方を見ると忠昭が、こっそり手招きをして呼んでた。
そして、あたかも偶然の様に…。

「あ…!星崎さん、こんにちわ。」
「友枇ちゃんじゃん。いらっしゃい^^友枇ちゃんも裕香ちゃんに会いに?」
「・・も…?あ、忠昭!」
「友枇、お前も中村に会いに来たわけ??」

「あれ?2人知り合い?…もしかして、付き合ってるとか?」
「え、えっと…///」
「へぇ〜…」

そこに、やっと裕香が来た。

「ちょっと尾方くん!友枇を誘惑しないでよぉ〜!」
「ゲッ。そういえば、星崎さん。中村、バイトどんな感じっすか?」
「裕香ちゃん?んー、物覚え早いから、あんまり教える事なくて楽♪」
「へぇ〜、やるじゃん。中村。」

「当たり前でしょ♪」
「星崎さんの教え方がいいんだよ。調子乗んなよ。な、友枇。」
「はは、そうだね。」
「ちょ、友枇の意地悪〜!」

「3人って、仲良いんだなー。」
「そうっすか?♪そういえば、星崎さんも
 さっきお客さんと楽しそうに喋ってたじゃないっすか。彼女っすか?♪」


ドッキーンッ


って心臓が鳴った気がした程に、忠昭の質問は自然だったし、
不意だったし、何よりも的を突いてた。

「さっきの?いや、常連客。マジでさっき助かった!
 長いときは1時間くらい喋ってるし。」
「なんだ。じゃ、彼女居ないんですか?」
「居ないよー。」
「えええ〜居ないんっすか?えー、じゃ、好きな人とかは?」

「えっと、好きな人は…」

さっきよりも大きく跳ねた心臓は、

星崎さんの手によって

握りつぶされた。

「好きな人は居るよ。一応ね。」


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