[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧

[21話]


あれから…慌てて教室に行くと、ニヤニヤ笑った裕香が居た。

「ねぇ…“忠昭”との初キッスのお味は?♪」
「そ、そんなの…は、恥ずかしくて言える訳ない・・・・・って裕香?」
「ん?」
「何で知ってるの?」
「解るよ〜…。尾方くんの性格はリサーチ済み。
 負けず嫌いなんだよね。特に大切に思ってる事に対してはね。」

一体、いつリサーチしたんだろ…・・???

「その“大切な友枇”を親友と言えど、先にキスされちゃったんだもん。」
「う・・うん。」

「そりゃ、自分もするっしょ。屋上の独特の雰囲気…他の生徒も少ない階段裏…。
 わざわざあの場所を選んであげた裕香様に感謝して欲しいなぁ〜…♪」

「まさか、裕香全部、ぜーんぶ計画だったって事?」

「そう♪尾方くんがキスするのも含めて、ね。」

何の為に・・・って聞きたくなったけど、やめた。

「あ、今日バイトだから…」
「うん、先帰るんだよね?放課後、寄るね♪」
「うんっ、まだ、慣れてないから慌てるけど…」
「でも、星崎さんの横でレジ打ち…嬉しいんじゃないのぉ〜?♪」

そう言うと、裕香はさっきまでと雰囲気をがらりと変えて“乙女”の顔になった。

「う…うん。超優しいよ。解んない事あったら、教えてくれるし…。
 その教え方が超格好いいっていうか…。」
「フフ、良かったね。頑張ってね!」
「うん♪」


そして、放課後。裕香は先に帰った。

バイトに間に合わないから早く帰る、とかじゃなくて、
星崎さんと“偶然”バイト先への道で会う為、先に行くのだ。

「友枇。」

教室で待ってると、忠昭が来た。

「中村、バイト?」
「うん、あとで一緒に見に行こうよ?」
「おう、俺もそう言おうと思った。星崎さんとも会いたいし。」
「…?なんで?」
「だって、もし、星崎さんが俺の事覚えてたら、
 中村の事とか話せて、仲良くなりやすいんじゃねぇかなぁって思って。」

忠昭は、裕香が思ってる以上に、凄くいい人だよ…。


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