[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧

[18話]





『星崎さんの働いてるコンビニで、バイト…始めちゃった。』




固まってしまった。

その時間が、数秒だったか数分だったか、それはよく解らないけど。

「・・・・・・・・・嘘!?!」
『ホント。今日、先帰ったのは、面接だったの。』
「マジで!?」
『うん、さっき、採用の電話かかってきたのー!』

忠昭と、数時間前に話していた事が、数時間前に、裕香自身によって、
まさか実行されていようとは…。

思ってなかった。

「よかったね…!これで、星崎さんと一緒のシフト入れまくれるじゃん!」
『うんっ!学校が一緒だからさ…。入れるリズムが似てるから、一緒に入れそうなんだ♪』

電話の向こうだけど、ニコニコ、裕香が嬉しそうに、
幸せそうに話している姿が、目に浮かぶように解った。

『あ、友枇の話っていうのは?』
「ううん、実は、裕香が星崎さんの働いてるコンビニでバイトすればいいのに、
 って言おうと思ったの。でも、それは裕香がとっくに実行してたって訳ね。」
『友枇、ありがと。嬉しいよ。』

『そんなに、考えてくれてたんだね…。』

「当たり前じゃん!裕香が嬉しいと、私も嬉しい。それに…」
『それに?』
「裕香と…ダブルデート…したいし…。」

『ダ、ダブルデート?!』
「う、うん。」

言った後で、ちょっと恥ずかしくなった。

思えば、裕香と“恋”の話なんて、しなかったし。
変な感覚だった。

『尾方くんと…って事だよね…?』
「うん…。やっぱり、裕香も幸せになってから、ただぁ…っと尾方くんと付き合いたいし…。」
『・・・普段、忠昭って呼んでるんだ…?♪』
「ぅへっ?!…っと…う、うん。」
『キャーッ♪ た・だ・あ・き♪ って?キャーッ!』
「やだぁ!やめてよっ〜!」


その夜は、2人でする“恋バナ”の新鮮さに浮かれて、
私達は、次の日が学校なのも忘れて、夜中の3時まで話した。


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