[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧
[16話]
それから、特別な進展はなかったけど、私も…そして、多分裕香も
満足してたと思う。
名前を覚えてもらえて、存在を知ってもらえた、っていうのは、
凄く大きな事だったから。
放課後、授業も終わって裕香に声をかけようと思ったら、
メールが来た。
『ゴメン、今日急いで帰らなくちゃいけないから、先に帰るね。』
「なんだ、裕香帰っちゃったんだ。」
そう独り言をつぶやいた。
「じゃ、俺と帰ろうよ。」
忠昭だった。
「びっくりしたぁーっ、どうしたの?」
「最近、あんまりコミュニケーション取れてなかったなぁ、と思って。
さっき中村が帰るの見えたからさ。」
ここ数日なんだかバタバタしてて、忠昭に裕香との話をきちんと出来てなかった。
「あの、今日・・Dreieck寄って行かない…?」
「いいよ。じゃ、行こうか。」
「こうやって放課後デートを友枇と出来るなんて、夢みたいだわ。」
“デート” そう言われて、初めて意識した。
…ら、なんだか顔が赤くなった。
Dreieckは、学校の最寄駅前にあって、そんなに遠くない。
星崎さんの働いてるコンビニも近い。
「あのね、裕香に聞いたの。星崎さんの事。」
「えっ?!、中村、何て?」
「好き…だって。言ってくれた。」
そして、私は、ここ最近の裕香の出来事を全て話した。
「…そっか。良かったな。
これで、あとは、中村と先輩がラブラブんなって、俺らも気持ちよく恋人同士になれるな。
やっぱり、誰かに反対されたりしながら付き合うのって、ちょっと疲れちゃうだろ?
特に、友枇は、背負い込んじゃう所、ありそうだし。」
なんか、ちょっと当たってて、ビックリした。
あんまり親しくしていた訳じゃなかったのに、(裕香の手前)…
