[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧

[15話]


私は、嫌いな歴史の時間ノートの端に少し大きめに『裕香の恋愛大作戦』と書いてみた。

作戦、と言ってみたものの、特に思いつかない。

-----ヴヴヴ

ポケットの中で携帯がバイブレーションする。

送信者は裕香だった。

『昨日、店ん中で泣いちゃって、迷惑かけたから、
 謝りたいんだけど、一緒に行ってくれる?』

それは、星崎さんへの謝罪。
確かに、昨日は事務所に連れて行ってくれたし。迷惑かけたよね。

『うん、大丈夫だよ。
 でも、同じ学校なんだし、放課後にでも行けばいいんじゃないの?』

『クラス知らないよ』

『一応次の休み時間の時、3年の教室覗いてみようよ。』


…という事で、3年の教室に来てみた。
15分の間で星崎さんを探さなければならない。

知らない上級生に声をかけるのは、勇気が要った。
1組の教室を覗いてみる。
…教室の一番端の手前に座ってる人に聞いてみた。

「あの、すみません。星崎さんって、何組ですか?」
「ん?星崎?えーっと、何組だっけかな。なぁ、星崎って何組?」
「3組じゃなかったか?」
「…3組っぽいよ。」
「ありがとうございます!」

私は、その人に頭を下げて、裕香と3組に向かった。

教室を覗くと、星崎さんが居た。

「裕香、居るじゃんっ、良かったね。」
「友枇、どうしよ。ドキドキしてきたよ〜!っ」
「大丈夫。お礼言うだけだからね!大丈夫。とりあえずお礼言おう!」

また、端の席の人に声をかける。

「すみません、星崎さん呼んでいただけますか?」
「ん?ああ、おーい、星崎ー。お客さん〜。」

呼ばれて、こちらを見た星崎さんは、少し驚いた顔をした。


「あ、“裕香”ちゃんと“友枇”ちゃんだ。」

!!名前、覚えててくれてるよ、良かったね!

話し出しにくそうにしてる裕香に代わって、先に口を開いた。

「昨日、有難う御座いました。私達騒いじゃって…。」
「ああ、いいよいいよ。裕香ちゃん、落ち着いた?」
「…は、はい。有難う御座いました。」

ペコリッとお辞儀をする裕香を見て、慌てて一緒に頭を下げた。

「いいよ。あの時店長居なかったし、客も少なかったし。大丈夫。
 それにしても、わざわざ礼に来てくれるとは思わなかったわ。」
「迷惑でしたか、教室まで押し掛けて。」
「え?いやいや、そんな事ないよ!そう言えば、君ら、名前なんて言うの?」
「中村 裕香って言います。」
「私は、川原 友枇です。」

「裕香ちゃんは、よくコンビニ来てくれるよね。」
「え!、はい…。お客さんの顔とか、覚えてるんですか?」
「うーん。まぁ、大体は…。」

-----キーンコーン

無情にも楽しい会話はチャイムによって割かれた。

「あ、じゃ、本当に有難う御座いました!」
「        …・・御座いました!」

手をヒラヒラと振って、ニコッとした星崎さんは、素敵に見えた。


「裕香、良かったね!」
「・・・・・」
「?どうしたの??」
「どうしよう、星崎さんと喋っちゃった!!」
「うんうん!」
「顔赤くなってない???」
「なってる。」

「本当に好きになっちゃってるよぉ〜」
「フフフ。」


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