[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧
[14話]
ここ2・3日、裕香は以前の様に仲良くしてくれてた。
そのお陰なのか、イジメは無くなった。
でも、忠昭の事や星崎さんのことを解決するまで、
私達は心の底から笑いあえないと思っていた。
「友枇〜♪帰ろう☆」
「うん、あ。今日、駅前のコンビニ寄ってもいい?」
「えっ?!」
裕香がイキナリ大きな声を上げた。
「何か急いでるんなら、やめとくけど…?」
「―――――――、、う、、ううん!大丈夫!OK〜☆」
その10分後、私は驚く事になる。
「いらっしゃいませ〜。」
私はコンビニのレジカウンターを見て、あまりの驚きに倒れそうになった。
そう。星崎さんが働いていたのだった。
「コ…コピー機どこかな。。」
「あっちの奥だよ。私、お菓子の所に居るね。」
裕香は、何もないように行ってしまった。
逆に、私はドキドキして上手にコピーをとれなかった。
操作をしながら星崎さんを見る。
「――実物、本当に格好いいな。」
素直にそう思った。
裕香が好きになるのも解る。
そんなに広くない店内で、裕香の姿を探すとお菓子の所で、
星崎さんをチラチラを見ているのを見付けた。
「裕香、コピー終わったよ。」
「・・・・・。」
「裕香?」
「――っへっ!?あ、ゴメン。」
私は勇気を出して言葉を発した。
「…どしたの?店員さんばっかり見て。」
裕香の顔は赤くなるのと同時に、目には沢山の涙を溜めていった。
「…!裕香?」
「ゴメン、、友枇…ゴメンね!私…!!!」
裕香は店内で泣き崩れてしまった。
「裕香?、とりあえず落ち着いて…?」
「ゴメンねっ…!!!」
まさか、こんな事になるなんて…。
「――、どうしました?大丈夫ですか?」
「!!!!!!」
声をかけてくれたのは、店員さん…そう、星崎さんだった。
「えっと、突然泣いちゃってっ、、」
「ゴメン、友枇、私、もう解んなくて…。自分の気持ちとか…っ!」
半分パニックになってる裕香を星崎さんは軽々と抱いて、
事務所に連れて行った。
「“友枇”ちゃんも。」
「は、はい!」
事務所の椅子に裕香を座らせて、はい、と在庫のお茶を渡してくれた。
不謹慎だけど、その行動とか、素敵だなって思った。
「ひっく、、ひっく…、、」
「有難うございます。」
「今、店長居ないから。俺らバイト2人だけだし。落ち着くまで居なよ。」
そう言って星崎さんはレジに戻っていった。
「はい、お茶。ちょっと飲んだら?落ち着くかも。」
「ひっく、ゴメン、友枇…私…。」
「大丈夫、ゆっくり。」
「私…私…っ、、あの人が…好きなの…!」
「うん…。」
「うん、って…!私、あれだけ文句言ったのに!私…自分の事…!!」
裕香が私に言った事とか、正直、もうどうでも良かった。
ただ、単純に嬉しかった。
そうやって相談してくれた事。
そして、私と星崎さんへの感情の間で悩んでくれていた事に。
「知ってたよ。好きだって事。
鞄に着けてるキーホルダー、落とした時見ちゃったんだ。」
「…、なのに…?私を嫌いにならなかったの?」
「何で嫌いになるの?私、裕香が大好きだよ。
でも、それと同じ位…忠昭が好き。でも、違う感情。」
「違う…感情…?」
「そうだよ。裕香、星崎さんの事を考えて、
胸がドキドキしたり、心が苦しくなったりしない?」
「…する。」
「でも、私の事考えて同じ様になる?
私はならないよ。裕香と今度はどこに遊びに行こうかな、って考えてても…。」
「・・・私も、友枇への気持ちと…違う。」
「そうだよ…。裕香…恋と友情。
どっちも大切だし、その2つは同じじゃない。一緒にするのは違うと思う。」
「でも、私は1人だし、友枇の事を考える時間と彼の事を考える時間…
出来ないよ…!」
「想いたいと思って想うものじゃないでしょ。感情なんて。」
「でも、最近…今まではよく友枇に電話しようかなぁとか考えてた時間も、
彼の事を考えるようになってて…それが友枇への裏切りになるんじゃないかって…っ!」
「その考え方が間違ってるんだよ! その一瞬一瞬の私の事を考える時間が減ってても、
裕香の気持ちの中で私の事好きって想う事に変わりはないんだもん!そうでしょ?」
「うん…!今も、昔も…友枇が好きだよ!」
「なら、それでいいじゃない。」
「え…・・?」
「それでいいんだよ。どっちも大切なんだもん。
左で私と手を繋いだなら、右手で彼と繋げばいいんだよ。」
裕香は、自分の左手と右手を見てギュッと握った。
その裕香の顔は、少し明るくなっていた。
「ゴメンね、友枇。私…」
「謝らなくてOK☆」
「ありがと。」
「裕香、手ぇ繋ごっか♪」
「うん…!」
裕香は、左手を差し出した。
「じゃ、次は、星崎さんとラブラブ作戦立てなきゃね!」
「ええ!?」
「右手で手、繋がなきゃでしょ〜♪」
裕香は恥ずかしそうに小さく うん、と頷いた。
