[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧

[ 8話]


「じゃ、裕香の家こっちだから…。」
「一緒に行かなくて…って行ったら余計ややこしくなるか。」
「うん、ゴメン。ありがとう。じゃ、明日ね。」

-----ピーンポーン

インターホンを一応鳴らす。でも、誰も応答しないのは解ってた。

裕香の親は共働きで、どんな時でも大抵、裕香は居留守を使う。
その代わり裕香は、私が来るのが解ってたりすると、玄関の鍵を開けてくれてた。

-----ガチャ

「…開いてた。」

「お邪魔しまーす」

勝手に入ると、いつも裕香が、「いらっしゃい」と笑顔で迎えてくれてた。
今日は、それはない。

…まぁ、玄関開いてただけでも良し、かな。

2階にある裕香の部屋に行く。

-----コンッコンッ

「裕香ー?」
「・・・・・・友枇?」
「入ってもいい?鞄持ってきた。」

暫くの沈黙。

「裕香?」
「いいよ。入ってきても。」
「うん。」

部屋に入って、裕香の顔を見ると、目元が赤く腫れてた。
泣いてた…の、かな。

「…はい、鞄。」
「ありがと。」
「鞄置いて帰るから、クラス中大騒ぎだったんだよー♪
 その代わり、授業短縮されたからラッキー☆だったんだけどね。」
「そっか。ゴメンね。」

反応の薄い裕香。
普段とは、明らかに違う。 っても、喧嘩してるから、かもしれないけど。

「朝、ゴメン。」
「・・・・・・・・・・・・ゴメンっていうなら…何があったか話してよ。」
「え?」
「朝。何が嬉しかったの?犬の話じゃなかったよね。」
「・・・・・うん。」

「尾方くんでしょ。」
「な、なんで。」
「解るんだよ。今までずっと一緒だったもん。Dreieckから変だったもん。」

何でDreieckの事…?

「あの時、私知ってたんだ。尾方くんが店に入ってきてたの。
 ガラスに反射して見えてた。」
「え…、裕香何も言わなかった…」
「だって、友枇は断ったって言ってたし。気にしなかっただけだよ。
 でも…“お母さん”からのメール来たでしょ。
 あの時から友枇の顔緩んだから、すぐ解った。」

あのメールの相手が“お母さん”じゃない事までバレてたんだ…。

「全部解ってるんだよ!友枇。付き合ってるんでしょ?!尾方くんと。何で嘘言うの??」

「…付き合ってないよ。それは、本当に。」
「だって、メールしたり、してるじゃん。」
「そう、だから…保留にしてもらっただけ。」
「保留…?意味解んない。」

「私、尾方くん、好きなんだもん。」
「友枇…」


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