[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧
[ 6話]
「おはよー友枇♪」
「おはよう。」
「ん?友枇の顔が緩んでるぞぉ〜♪」
裕香が私の頬とツンツンと突付いた。
「そんなに、緩んでるかな、、」
「うん!何があったか、裕香ちゃんに話なさーい♪」
「実はね、、!」
浮かれてそう言った後に、
裕香には話しちゃいけない事だったんだ、と思った。
「あ、朝ね、可愛い仔犬が居てさー!」
「仔犬?」
「うん!テリア系だと思うんだけど、何て種類だったのかなーって。」
私の精一杯の誤魔化しも、裕香には通用しなかったみたいで…。
「何それ。絶対違うじゃん。」
「本当にっ!可愛かったんだからー。」
さっきまで、にこにこしてた裕香の表情は変わっていた。
「友枇、知ってる?」
「え?」
「友枇って、嘘吐いたり、誤魔化す時、髪の毛触る癖があるの。」
実際、そういわれた瞬間、私の手は髪の毛を触っていた。
「か、髪の毛なんていつも触ってるじゃん、やだなー。」
「私にも言えない事なの?」
「勘違いしてるって!私全然、本当に、」
「嘘吐き。」
裕香は、そう言って私を置いて教室に向かっていった。
いつも、一緒に行動していた私達は、お互いに教室の中でも孤独だった。
そんなキマヅイ雰囲気が嫌で、私は昼休みにご飯も食べずに図書館へ行った。
「“仲直りの方法”とかって本ないのかな…。」
何の目的もなく、少し広めの図書館のなかをふらふらを歩いた。
「もしかして、川原さん?」
突然名前を呼ばれて振り返ると、知らない男子生徒だった。
「はい…?」
「やっぱり、そうだ!!…中村は??」
「…今は、居ないよ。」
「ラッキーッ!!!!!」
らっきー?
「川原さん、突然だけど、俺と付き合ってください!!」
・・・・・・・・え??
「よかったー!言えたよー!いつも中村が居るから、
声かけられなかったんだよなぁ…。」
「裕香が?」
「あいつ、俺らが川原さん見てたりすると、睨んでくるし。」
裕香、そんな事してたんだ…。
私・・全然裕香の事、知らなかったんだね。
裕香には、守ってもらったり、助けられたり。
私はいつも、受身だった。
「・・ゴメンなさい、私は付き合えません。」
「ええー!何で?!」
「…好きな人が居るから。」
そう言って教室に急いで向かった。
「・・裕香とちゃんと、話、しなくちゃいけない」
そう思ったから。
でも、教室に戻っても裕香は居なかった。
「裕香、知らない?」
「何か、ふらぁっと教室出て行ったけど?トイレじゃない?」
だけど、昼休みが終わっても裕香は戻ってこなかった。
鞄も席にあるから、早退、なんて事はないと思うけど…。
「あれ?中村さんは?川原さん、知ってる?」
「いえ、知らないです。」
「保健室かな?ちょっと聞いてくる。」
先生が教室を出て行ったから、裕香にメールを送ったけど、
いつもなら、数分で返ってくる返事は無かった。
「・・保健室にも、居なかったわー。どこに行ったんだろ…。
ちょっと探してくるから、自習してて。静かにな。」
保健室にも、居ない…?
