[Sprit×Drug−精神安定剤−]
[08ABB]
-----未来のケンへ。
俺は、今姉さんの研究している心理状態とかいう実験の被験者にされている。
いったい、いつからこの研究が行われていたのか、俺には想像が着かない。
母さんと父さんが俺たち兄弟の前から姿を消したとき?俺が警察に連行されたとき?
考え出すときりがない。
ただ、ひとつ言えるのは、この研究は、まだまだ終わらないであろうということだ。
昨日姉さんが教授と呼ばれる人物と話しているのを聞いた。
被験者のデータは芳しくなく、思うように行っていない。新たな被験者が必要だ。そう言っていた。
きっと、それは俺がもう長くはないということなんだろうと思う。
ただ無意識に生きていた人生だったけど、いざ他人の手の内で、ただもがいて生きていたんだと知ると、
もう少し生きていたかった、もっとまともに、と欲が出てくる。
何もかもうまくいかず、何もかもが敵になった今、俺は、お前は何を考えているんだろうか。
薬の影響で、この手紙も読むことが出来ず、ただ心臓が動くだけの人形になってしまっているのだろうか。
もしかしたら、この手紙も研究者に見つかって無残に捨てられているかもしれない。
しかし、何か自分の思いを書いていないと、自分の存在した意味がまったくなかったように思えて仕方ない。
でも、自分で命を絶つ勇気もなくて、ただその日を待っている。
この手紙を未来の俺以外の誰かが読んでいるのなら、新たに被験者となる人物を救ってほしい。
俺のような思いをする人間が、もうすぐ俺と同じ道をたどることになるからだ。
今まで、悪いこともした。人を憎み、恨み、生きてきた。こんな人生ははやく終わればいいと、そう思っていた。
しかし、ここにきて願うのは、もう少し、生きていたかった。ということだ。
もうすぐまた、あの鐘が鳴る。俺の命のカウントダウンを告げる、鐘の音が。
真城 ケン-----
引き出しの奥から出てきたのは、ケンの手紙だった。
姫の弟で、ドラッグの常習犯だったケン。彼も俺と同じこの実験のモルモットだったんだ…。
気づくと、頬には一筋、雫が流れていた。
この手紙にあった、新たな被験者とは、俺のことだろう。
手紙に気づくのが遅すぎた。もう、何もかも手遅れだ。
俺は、ケンと同じように、自分の思いを書き綴った。
来ない未来のために。-----ゴーン・・・ゴーン…
頭に響く鐘の音。 きっと、この音色こそ、…
−ケンからの手紙と終わりを告げる鐘編− −END−
☆執筆後記☆
ここまで読んで頂き、有難う御座いました。
−ケンからの手紙と終わりを告げる鐘編−いかがでしたでしょうか。
SDシリーズの中で最後に書いたストーリーです。
今までの集大成のような話になったのではないか、と思っています。
Spirit×Drug−精神安定剤−には、まだ他にもエンディングが沢山あります。
他の話も是非、お読み下さいね!♪
c...藍々 碧
