[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:鳳 ヰ流

[ 6話]


午後八時。

友枇は自室にこもっていた。

いつもなら夕食も終わり家族団欒でテレビを囲んでいる時間帯だ。
十七歳の女の子。いつまでも家族と一緒が鬱陶しくなる年齢である。

そんな年頃の子を持つ親は、

「あら、友枇ったら全然食べにこないわ。
 ダイエット中かしら。先に言っておいてくれればいいのに」
「気にするほど太ってないだろうに」

父親が理解しがたい、とでもいう風に食後のリンゴをムシャムシャと食べる。

「そういった年頃なのよ。好きな人でもできたんじゃないかしら」

実に楽観的に、娘にもやっと年頃らしさがでてきたのだわ、と母親が喜んでいると……。

「それは……いるかもしれないが……」

眉間に皺を寄せながら唸っている父親がいた。
やはり父親としては可愛い娘に好きな人がいると思うと心中複雑なのであろう。

「今度聞いておくわ。こういう話は女同士の方が話しやすいしね。」

居間で娘の好きな人について話が向かおうとしている頃、
年頃らしさがでてきたという娘の方は……。 親の予想とは裏腹に、ベッドの上で悩んでいた。

そう、悩んでいたのだ。

朝の出来事について。否、それ以前のことについてだ。

以前、友枇に起こった事件といえば、忠昭のことをおいて他にない。

友枇は断ろうと思っていた相手、忠昭と付き合うことにしたのだ。
そして未だにその事を裕香に告げてはいなかったのだ。
伝えることを遅くすればするほど不安は大きくなる。

そのことを知っていたのに。

大事なことだからこそタイミングを計っているのだ。

――と、自分に言い聞かせながら告げることを先延ばしにしていたのだ。

そのことに、今朝、気づかされた。
何て浅はかだったのだろう。


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