[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:鳳 ヰ流
[ 4話]
あれから数日が経過した。
私、川原友枇が彼、尾方忠昭と付き合う事になってから。
私と彼は付き合ったからといって、
巷にいる目も当てられないバカップルのような付き合いはしていない。
それどころか手すら握った事がない。
だからといって、何もない訳ではない。
朝、教室に入る前には必ず「おはよう」と挨拶をする。
最初は恥ずかしくて小さな声で返事をしていた。
それが笑顔で挨拶をするようになった頃。
いつものように忠昭に声を掛けられる。そしていつものように別々の教室に入っていく。
自分の教室に入ってすぐ、違和感を覚える。
大抵、私より早く来ている親友の川原 裕香の姿が見えないからだ。
いつもは教室に入ると真っ先に声を掛けてきて、こっちこっち、と手招きする裕香の姿がない事に。
今日は休みなのかな。
携帯を取り出して連絡が入っていないか確かめるが、
そこには見慣れた画像が映し出されているだけだった。
急に倒れたのだろうか。。
不安を募らせる。
人が聞けば、そんな大袈裟な、と思うだろう。
だが裕香は休む時は勿論のこと、遅くなりそうな時でさえ友枇に連絡をする。
そんな裕香が連絡もせずに遅くなる事は友枇にとって一大事なのである。
もしかして病院に運ばれてそのまま入院したのではなかろうか。
どんどん悪い方へと考えが及ぶ。
すると。
「おっはよー。友枇。珍しく早いじゃん。
私、傘持ってくるの忘れちゃった。帰りは相合傘だね。」
そう茶化しながら私の元にやってきたのは、
今しがた友枇が心配をしていた相手、裕香だった。
「おはよ。遅いから休みかと思った。」
連絡がないから心配した、と私は恨みがましく言うと、
「何言ってるの。私はいつも通りだよ。友枇が早く来すぎなの。」
もしかして時間も見ずに出て来たの、と呆れた顔で言われ、初めて時計を見た。
そういえば今日の電車はいつもより人が少なかった。
そういうと大声で笑われた。友枇らしい、と。
