[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:千 妃咲
[ 8話]
「ごめん遅れて!」
重い空気の中現れたのは尾方であった。
「実は俺の友達みんな都合つかなくて駄目になっちゃったんだ。
で、俺だけなんだけど大丈夫かな?」
「あっそうなの?うん、こっちは大丈夫だけど…ねぇ裕香?」
「ええ。」
「あっ!中村さんだよね?今日は無理言っちゃってごめんね。」
「初めまして、こんにちわ。」
「まともに話すのは初めてだよね?俺、尾方忠昭っていうんだ。今日はよろしくね。」
「はい、よろしく。」
(裕香〜初対面なのに態度悪いよ〜)
ハラハラした様子でうろたえる友枇であった。
「え〜っと…映画だよね!早く行こう!始まっちゃうよ。」
少し気まずい雰囲気のまま今日の目的地の映画館に向かう三人。
「ジャンルどれにする?」
「うーん、尾方くんはどんなのが好きなの?」
「俺は比較的なんでも好きだよ。意外かもしれないけどアニメとも結構見に行くし。
あっ決してオタクではないぜ!」
「あはは…分かってるよぉ。」
うろたえる尾方の様子がおもしろくて友枇は思わずクスクス笑い出す。
「おほんっ」
そんなちょっと二人のいい雰囲気に割り込む様に裕香は咳払いをする。
「あっ中村さんはどんなの見たい?」
「別にどれでも…」
(また態度悪いし…!)
友枇はまたヒヤヒヤしだす。
「じゃあ、万人受けするコメディにしようか!
さぁ、始まっちゃう。入ろ!」
(はぁ、今日一日こんな調子なのかなぁ…
折角のデートだから楽しくいきたいのに…
まぁ、映画だったら話す事もないから大丈夫だろうけど。
やっぱり2対1ってのはまずかったのかな。)
席の場所は奥から尾方・友枇・裕香の順番。
まるで仲裁役の様な配置だ。
