[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧
[ 1話]
■キミと手を繋いで■
「告白の返事、聞きたいんだ。」
呼び出されたその瞬間は、私の気持ちは決まっていた筈だった。
「付き合おう」って返事をするつもりだった。
でも、それは私が教室を出る瞬間に言われた裕香の一言で。
頭の中に浮かんでたもの全てが消え去っていた。
「私を捨てるの?」
裕香は、大好きな大好きな親友。
私に彼氏が出来たからって、捨てるとか、そういう事じゃないと思ってた。
でも、裕香には違ってた。
今の私には後戻りできそうだった。
尾方君という存在が“気になる”から、“好きかも”へと行く道の途中だから。
でも、その歩みを止めたくない自分も居た。
頭の中で裕香の言葉は何度も、何度もリピートしていた。
「川原…?」
「少し…聞いてくれる?私の話。」
「?・・うん。」
「私には、中村 裕香っていう親友がいるの。」
「知ってるよ。いつも一緒に居るよな。」
「うん。そう、いつも一緒に居る。
だから、裕香はこの気持ちを応援してくれると、そう思ってたの。」
「この気持ちって?」
「・・尾方くんの事が気になる、って事。」
「!!それって…、、!」
「うん。でも、裕香は応援してくれなかった。」
「え?なんで?友達なら・・」
「さっき、裕香は、私に言ったの。“私を捨てるの?”って。」
「捨てる…って、そんな、男女の浮気じゃないんだから。」
今考えると中学の頃から、裕香はそうだった。
男子が告白してきた時には、いつも近くに居て、見てた。
そしてそれは、私には勇気を与えてくれてた。
でも、今考えると、ちょっと普通じゃなかった。
「友枇と裕香ってレズ?」って言われた事も何度かあった。
何度も言うけど、それは、私にとっても迷惑なんかじゃなかったし、力強かった。
