[No Distance小説大会 Vol.01]
著者:藍々 碧

[ 1話]


キミと手を繋いで

「告白の返事、聞きたいんだ。」

呼び出されたその瞬間は、私の気持ちは決まっていた筈だった。
「付き合おう」って返事をするつもりだった。

でも、それは私が教室を出る瞬間に言われた裕香の一言で。
頭の中に浮かんでたもの全てが消え去っていた。

「私を捨てるの?」

裕香は、大好きな大好きな親友。
私に彼氏が出来たからって、捨てるとか、そういう事じゃないと思ってた。

でも、裕香には違ってた。

今の私には後戻りできそうだった。
尾方君という存在が“気になる”から、“好きかも”へと行く道の途中だから。

でも、その歩みを止めたくない自分も居た。

頭の中で裕香の言葉は何度も、何度もリピートしていた。

「川原…?」
「少し…聞いてくれる?私の話。」
「?・・うん。」

「私には、中村 裕香っていう親友がいるの。」
「知ってるよ。いつも一緒に居るよな。」
「うん。そう、いつも一緒に居る。
 だから、裕香はこの気持ちを応援してくれると、そう思ってたの。」
「この気持ちって?」

「・・尾方くんの事が気になる、って事。」
「!!それって…、、!」
「うん。でも、裕香は応援してくれなかった。」
「え?なんで?友達なら・・」

「さっき、裕香は、私に言ったの。“私を捨てるの?”って。」
「捨てる…って、そんな、男女の浮気じゃないんだから。」

今考えると中学の頃から、裕香はそうだった。

男子が告白してきた時には、いつも近くに居て、見てた。
そしてそれは、私には勇気を与えてくれてた。

でも、今考えると、ちょっと普通じゃなかった。
「友枇と裕香ってレズ?」って言われた事も何度かあった。

何度も言うけど、それは、私にとっても迷惑なんかじゃなかったし、力強かった。


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